~ここから新しい世界に出会える~正林堂

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ノーベル文学賞 世界は日本のどこを見ているか


世界は日本の何をみているか
何がちがう?どこがちがう?



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世界を驚かせたボブディランのノーベル文学賞受賞につづき、
カズオ・イシグロの受賞は、私たちに大きな衝撃を与えました。

日本人の過去の受賞の噂のあった作家も並べてみると、
ノーベル賞と他の文学賞との違いが見えてくるような気もします。

1968年の川端康成の受賞のときは、三島由紀夫などの受賞が噂されていました。
このとき三島由紀夫が受賞を逃したことが、のちの彼の人生を変えることになったとも言われます。

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安部公房も受賞の噂の高かった作家ですが、その死がチャンスを逃してしまったとも言われています。

1994年受賞の大江健三郎は、話題性の高さのわりには、その後の読者の広がりはあまりみられませんでした。



【受賞の噂のあった作家】

三島由紀夫 1925(大4)-1970(昭45)
谷崎潤一郎 1886(明19)-1965(昭40)
安部公房 1924(大13)-1993(平5)
遠藤周作 1923(大12)-1996(平8)
吉村昭 1927(昭2)-2006(平18)
井上靖 1907(明40)-1991(平3)
賀川豊彦 1888(明21)-1960(昭35)
西脇順三郎 1894(明27)-1982(昭57)

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この流れをみると、村上春樹は受賞できないこと納得。
本命は翻訳の壁があって難しいかもしれないけど、やはり石牟礼道子がダントツ


【受賞の噂のある作家】

村上春樹  1949年1月12日-
谷川俊太郎 1931年12月15日-
吉増剛造  1939年2月22日-
多和田葉子 1960年3月23日-
柄谷行人  1941年8月6日-
林京子  1930年8月28日-
中島京子  1964年3月23日-
よしもとばなな 1964年7月24日-
川上弘美   1958年7月24日-
小川洋子 1962年3月30日-

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なんとこのフェア企画中2月10日に、石牟礼道子さんが亡くなられました。
受賞の噂のある作家から、受賞の噂のあった作家に変わってしまいました。

急遽、石牟礼道子追悼企画として組み立て直すことにします。

写真の『西南役伝説』は、絶版品切れのものですが、大河ドラマ西郷どん」の放送に伴ってか、講談社文芸文庫より近く復刊される予定です。

本書のことを私は誤解していたのですが、地元に伝わる西南役伝説をベースにした作品とばかり思っていたら、明治のご一新で近代への時代の急変に翻弄される農民、漁民の側の姿を描いたもので、代表作『苦界浄土』とともに石牟礼道子の思想の神髄が凝縮されたような作品でした。

近代の入り口とも言える明治維新と、それにただ一人、近代化一方へ邁進する政府に待ったをかけたかに見える西郷隆盛ですが、それら政治の大きなうねりは、むしろ農民や漁民の方が肌で多くのことを感じていました。

近代の出口にあると言われる今、もう一度、石牟礼道子の深い現代文明いへの洞察を少しでも多くの方に知っていただけたらと思います。

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本来ここには、ボブ・ディランの詩集こそおきたいとおろですが、
手ごろなものは入手できませんでした。

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