~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

2008-01-01から1年間の記事一覧

あらためて『文明の衝突』、その核心部分

昨日、ある常連のお客さんから、電話で『文明の対立』とかいう本はあるかとの問い合わせがありました。 もしかして『文明の衝突』ではないですか? と聞くと、よくはわからないが、つい最近死んだ人の本だという。 そのとき、わたしは『文明の衝突』の著者名…

冬休みに読む本

先ほど、大学生か高校生風の若いお客さんが、文庫をまとめて買っていかれました。 こんな組み合わせです。 一言、「すばらしい組み合わせですね」 と声をかけたものの、ほんとうは抱き寄せて頬ずりしてあげたいようでした。 柳田国男『青年と学問』岩波文庫 …

やりがいある仕事を市場原理のなかで実現する!

渡邉正裕著 『やりがいある仕事を市場原理のなかで実現する!』 光文社 定価 本体1,500円+税 うちのお店ではうっかりノーマークの本でした。余所のお店で見つけた本です。 「好きな仕事は、金儲けにつながらない。」 「NPOや地域活動など、理念型の仕事…

今年の本を振り返ると

この時期になると各分野でこの一年をふり返る特集が出てきます。 本の年間ベストセラーランキングも、大手書店や主要取次などからそれぞれ発表されています。 最近は、なんとなくしかけ販売でヒットした作品が多くなってきたような気がします。 うる技術が進…

柳澤桂子『よく生きる智慧』

またまた配本、重版のシビアな小学館から、いい本が出てしまいました。 以前、紹介した田中優子の『カムイ伝講義』も、すばらしい本だったのでガンガン売りたいところでしたが、配本が無いのは我われ零細書店には仕方がないとしても、重版自体がなかなかシビ…

加藤周一と『日本文学史序説』

大きな存在がまたひとり、亡くなられました。 井上ひさしさんは、「北極星が落ちた」とまで表現してました。 世の中がいかに変わろうとも、いつもわたしたちのいる場所を不動の位置から方向を指し示してくれた貴重な存在でした。 思えば30年も昔、私が大学受…

【12月のおさえておきたい本】

○ 『ローマ亡き後の地中海世界 上』塩野七生 新潮社 定価 本体3000円+税 ○ 『小林秀雄先生来る』原田宗典 新潮社 定価 本体1,300円+税 ○ 『幕末史』半藤一利 新潮社 定価 本体1,800円+税 ○ 『白洲次郎・正子の夕餉』牧山桂子 新潮社 定価 本体2,600円+税…

ニーベルングの指輪 全4巻完結!

以前、この場で紹介させていただいている企画ですが http://blogs.yahoo.co.jp/hosinopp/24937752.html 小学館のDVD BOOK 魅惑のオペラシリーズの特別版 「ニーベルングの指輪」全4巻 ついに最後の「神々の黄昏」が発売されたので ようやくすべて観終…

茂木正男さんを悼む

高崎映画祭事務局代表で、シネマティークたかさき総支配人の茂木(もてき)正男さんが15日、病気のため亡くなられたことを新聞記事で知りました。 群馬の文化を語るうえで、この方ほど、力強い実践的足跡を残してくれた人もいないのではないだろうかと思える…

11月のおさえておきたい本

「谷川俊太郎の問う言葉答える言葉」谷川俊太郎 イースト・プレス 1,200円 「言葉が心を軽くする」小林正観 イースト・プレス 「人生は愉快だ」池田晶子 毎日新聞社 「ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド」メイ・パン 河出書房新社 「木のぼりの詩」安野…

久々のスゴイ新人の小説『告白』

すごい新人! すごい作品です。 http://bookjapan.jp/search/review/series2/s2_080828.html ここで文学作品を取り上げることは少ないのですが、 文学の力を技法や構成力だけでなく、しっかりとした現実の取材をベースにして、 人間の深淵を見事に浮き上がら…

神々の遊ぶ場所

前回紹介した田中優子の『カムイ伝講義』、つくづく良い本だと思うのですが、ようやく入荷したものも、昨日、売り切れてしまいました。 良書であってもベストセラーに化けるような本ではないので、小部数でも確実に入ってくれれば良いのですが、小学館とかの…

田中優子の『カムイ伝講義』

『カムイ伝講義』というタイトルをみると、多くの人が待ってましたとばかりに、 不朽の名作の深いストーリーの絵解き解説を期待されることと思います。 ところが本書は、そうした期待を胸に手にとった人には少し異なった印象を与えるものと思います。 本書は…

続・群馬の古城

ちょっとこのタイトルは、店頭のお客さんに誤解を与えやすいようです。 『続・~』とついているのは、既刊『群馬の古城』全3巻の続編として企画されたものという意味です。 既刊の三冊が、本編にあたり、その三冊が好評で完売してしまいながらも再刊のリクエ…

国を救ったキューバの有機農業

『有機農業が国を変えた ─小さなキューバの大きな実験』 吉田太郎(キューバ農業研究者)著 2002年/四六判/256ページ/2200円+税 私に兄貴がいるわけではないのだけれども、兄貴というイメージがもっているものは、 阪神の金本に代表されるように、たくま…

『坂本龍一の音楽』を買ってくれる人

山下邦彦/編著 『坂本龍一の音楽』 東京書籍 定価 本体10,000円+税 詳細目次 http://www5.tokyo-shoseki-ptg.co.jp/tosho_new/book/bookdata/06/4487801039.html うちのような書店では、定価が3,000円以上の本となると、それぞれの内容で買ってくれるお客…

沖縄を通じて日本を読み解く力

佐野眞一『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』 集英社インターナショナル 定価 本来1,900円+税 佐野眞一の新刊というだけでも要チェックの本ですが、沖縄は地元の高校が毎年修学旅行で行くところなので、これは注目せずにはいられない大事な本でした…

10月のおさえておきたい本

【ちょっと気になるおさえておきたい本】 ○ 『碧眼の反逆児 天草四郎』 松原 誠 NHK出版 定価 本体1400円+税 ○ 『牧水の心を旅する(仮)』 伊藤一彦 角川学芸出版 定価 本体1,619円+税 ○ 『古井戸の骸骨』 塩見鮮一郎 河出書房新社 定価 本体1,900円+税 …

三人委員会哲学塾が今年も片品で

上野村で暮らす哲学者、内山節さんらがつくる三人委員会が、昨年に引き続き片品村で行われます。 http://3nintetugaku.net/?eid=38 今年のテーマは 「尾瀬の時間-地域の時間」 10月4日、5日、6日の二泊三日の日程で 片品村の旅館「かしや」にて わたしは残…

眠り姫の地図を作成しました。

前につくった「子持の眠り姫」のチラシ、地図があればわかりやすいんだよね と、何人かの人に言われてしまった。 わかってます。 でも、見やすい地図をパソコンでつくるの とっても手間がかかって面倒! いつかはつくらなければいけないと思ってました。 結…

そこにあるものを発見して表現する力

井上ひさし『ボローニャ紀行』についての第2回目。 ボローニャという都市はイタリア半島の付け根の部分の真ん中にあります。 北はアルプス山脈、南はアペニン山脈。 そのふたつの山脈の間を西から東へ、アドリア海へとポー川が流れ込む。 そのポー川とアペニ…

国をあてにしない地方文化都市、ボローニャ

井上ひさし『ボローニャ紀行』 文芸春秋 定価 本体1,190円+税 バイロイトという小さな町の伝統となったワーグナーの楽劇を毎晩見ていると、山ひとつ隔てたドイツとイタリアでかくも文化の違うものかと痛感させられます。 ヨーロッパの国々でも、このふたつ…

黄葉といえば・・・子持の眠り姫

また紅葉シーズンがやってきます。 この時期には、決まって渋川市の(旧)子持村を歌った万葉東歌 子持山若かへるでの黄葉(もみ)つまで 寝もと我(わ)は思(も)ふ 汝(な)はあどか思(も)ふ 巻14-3494 の枝折りをお店で配るのですが、 (詳細は昨年1…

ヘタな人生論より「寅さん」のひと言

吉村英夫著 河出書房新社 定価 本体640円+税 『ヘタな人生論よりイソップ物語』 『ヘタな人生論より徒然草』 『ヘタな人生論より良寛の生きざま』 『ヘタな人生論より中国の故事寓話』 『ヘタな人生論より葉隠』 河出文庫、一連のシリーズの新刊。 このシリ…

【9月のおさえておきたい本】

【ちょっと気になるおさえておきたい本】 ○ 『柳田国男入門』 鶴見太郎 角川学芸出版 定価 本体1400円+税 前回紹介した気がしますが、ただの入門書ではないはず。 ○ 『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』 佐野眞一 集英社 定価 本体1,900円+税 ○ 『…

軍隊のない国家  27の国々と人びと

『軍隊のない国家 27の国々と人びと』 前田朗/著 出版社 日本評論社 出版年月 2008年4月 税込価格 1,995円 高校の図書館からの注文で、遅ればせながら知った本です。 世界には軍隊のない国家がたくさんあります。 なぜ、どのようにして軍隊を持たないよう…

金谷常平 『一日暮らし』

金谷常平さんの前の著作『榛名山歩』が出たとき、お店にたびたび「金谷先生の本ありますか?」と聞いてくるお客さんがくるのをみて、たぶん生徒たちに好かれている先生だったんだろうなぁと、まだお会いしたことのないその姿をなんとなく想像していたのです…

青き上に 榛名・伊香保文学紀行

伊香保のお客さんから、土屋文明記念文学館で見た伊香保関係の本を取り寄せられないかとの問い合わせがあり、早速、文学館さんに問い合わせたところ、そちらでの刊行物が様々なところで印刷しており、ものによって販売チャンネルが異なるとのことで、その問…

福岡正信さんが亡くなられました。

究極の無為自然、老子の思想を説いて、それを実践普及させた福岡正信さんが、16日に亡くなられました。 1913年生まれ。 横浜税関植物検査課勤務などを経たのち、1947年、帰農。 以後、自然農法一筋に生きる。 1988年、インドのタゴール国際大学学長のラジブ…

いよいよ電子書籍リーダーが普及しだした

電子書籍は、日本ではこれまで何社かが参入していましたが、どれも思うようには普及しませんでした。 でも、電子辞書の普及例のように、使い勝手のよいハードと、紙の情報をただデジタル化しただけではない新たな活用事例が伝わり出すと、一気に普及は加速す…