~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

#その他人文科学

8月のおさえておきたい本 【新書】

青春インテリジェンス(1日) 米山公啓『AI時代に「頭がいい」とはどういうことか』920円+税 歴史新書y(3日) 山田邦明 編『関東戦国全史』950円+税 小学館新書(3日) 井沢元彦『日本史真髄』840円+税 ちくま新書(6日) 山尾志桜里『立憲的改憲』1000円+税 …

3月のおさえておきたい本【文庫】

PHP文庫(1日) 外山滋比古『思考力(仮)』640円+税 瀬戸内寂聴 美輪明宏『これからを生きる人へ(仮)』660円+税 藤田紘一郎『病気にならない乳酸菌生活』680円+税 河出文庫(2日) 新村出『広辞苑先生、語源をさぐる』760円+税 小学館文庫(6日) ○ 三遊亭円丈…

「正義」と「責任」  ―― 武士道とアリストテレス その2

あらゆる都市国家は、真にその名にふさわしく、しかも名ばかりでないならば、善の促進という目標に邁進しなければならない。 さもないと、政治的共同体は単なる同盟に堕してしまう・・・。 また、法は単なる契約になってしまう・・・ 「一人ひとりの権利が他…

純粋な自然の贈与

あけましておめでとうございます。 以下は、中沢新一著 『 純粋な自然の贈与』 講談社学術文庫についての文ですが、書評ではありません。 わたしの雑感です。 以前、モースの『贈与論』の紹介を書いたことがありますが、中沢新一氏のこれまでの著作も含めて…

5月のおさえておきたい本

○ 井上ひさし『ムサシ』集英社 1,200円+税 (1日) ○ 梨木香歩『f植物園の巣穴』朝日新聞出版 1,500円+税 (7日) ○ 岡崎寛徳『鷹と将軍 徳川社会の贈答システム』講談社 1,500円+税 (7日) ○ 清川妙『88歳。生き方上手の心ノート(仮)』海竜社 1,500…

【4月のおさえておきたい本】

【4月のおさえておきたい本】 ○ 『日本語で読むということ』水村美苗 筑摩書房 定価 1,600円+税 ○ 『日本語で書くということ』水村美苗 筑摩書房 定価 1,600円+税 ○ 『運命の人 1、2』山崎豊子 文芸春秋 定価 各巻1,333円+税 ○ 『私とは何か さて死んだ…

とても大事な本が復刊。モースの『贈与論』

二十世紀の古典中の古典ともいわれるマルセル・モースの『贈与論』が、ちくま学芸文庫から復刊されました。 復刊といっても、勁草書房から出ている『贈与論[新装版]』も、まだ3,800円+税で入手できます。 私は、文庫化される情報を知ったときに、「あれ?も…

『二荒』から『日光』へ甦った立松和平作品

以前、このブログで紹介した立松和平『二荒』が絶版になり、問題の部分を削除したものが再販されるのかどうか、立松さんにとって大事な作品であると思われるだけに、先行きを不安な思いで見守っていたところ、勉誠出版さんから、ご丁寧な抜本的改稿による新…

『日本語が亡びるとき』

このところ書評が、いたる所に出まくっている本です。 水村美苗著 『日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で』 筑摩書房 定価 本体1,800円+税 インターネットやグローバル経済のもとで、英語が標準語としての地位をますます高めるなかで、 日本語、国語の復権…

あらためて『文明の衝突』、その核心部分

昨日、ある常連のお客さんから、電話で『文明の対立』とかいう本はあるかとの問い合わせがありました。 もしかして『文明の衝突』ではないですか? と聞くと、よくはわからないが、つい最近死んだ人の本だという。 そのとき、わたしは『文明の衝突』の著者名…

今年の本を振り返ると

この時期になると各分野でこの一年をふり返る特集が出てきます。 本の年間ベストセラーランキングも、大手書店や主要取次などからそれぞれ発表されています。 最近は、なんとなくしかけ販売でヒットした作品が多くなってきたような気がします。 うる技術が進…

柳澤桂子『よく生きる智慧』

またまた配本、重版のシビアな小学館から、いい本が出てしまいました。 以前、紹介した田中優子の『カムイ伝講義』も、すばらしい本だったのでガンガン売りたいところでしたが、配本が無いのは我われ零細書店には仕方がないとしても、重版自体がなかなかシビ…

加藤周一と『日本文学史序説』

大きな存在がまたひとり、亡くなられました。 井上ひさしさんは、「北極星が落ちた」とまで表現してました。 世の中がいかに変わろうとも、いつもわたしたちのいる場所を不動の位置から方向を指し示してくれた貴重な存在でした。 思えば30年も昔、私が大学受…

【12月のおさえておきたい本】

○ 『ローマ亡き後の地中海世界 上』塩野七生 新潮社 定価 本体3000円+税 ○ 『小林秀雄先生来る』原田宗典 新潮社 定価 本体1,300円+税 ○ 『幕末史』半藤一利 新潮社 定価 本体1,800円+税 ○ 『白洲次郎・正子の夕餉』牧山桂子 新潮社 定価 本体2,600円+税…

11月のおさえておきたい本

「谷川俊太郎の問う言葉答える言葉」谷川俊太郎 イースト・プレス 1,200円 「言葉が心を軽くする」小林正観 イースト・プレス 「人生は愉快だ」池田晶子 毎日新聞社 「ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド」メイ・パン 河出書房新社 「木のぼりの詩」安野…

久々のスゴイ新人の小説『告白』

すごい新人! すごい作品です。 http://bookjapan.jp/search/review/series2/s2_080828.html ここで文学作品を取り上げることは少ないのですが、 文学の力を技法や構成力だけでなく、しっかりとした現実の取材をベースにして、 人間の深淵を見事に浮き上がら…

神々の遊ぶ場所

前回紹介した田中優子の『カムイ伝講義』、つくづく良い本だと思うのですが、ようやく入荷したものも、昨日、売り切れてしまいました。 良書であってもベストセラーに化けるような本ではないので、小部数でも確実に入ってくれれば良いのですが、小学館とかの…

田中優子の『カムイ伝講義』

『カムイ伝講義』というタイトルをみると、多くの人が待ってましたとばかりに、 不朽の名作の深いストーリーの絵解き解説を期待されることと思います。 ところが本書は、そうした期待を胸に手にとった人には少し異なった印象を与えるものと思います。 本書は…

10月のおさえておきたい本

【ちょっと気になるおさえておきたい本】 ○ 『碧眼の反逆児 天草四郎』 松原 誠 NHK出版 定価 本体1400円+税 ○ 『牧水の心を旅する(仮)』 伊藤一彦 角川学芸出版 定価 本体1,619円+税 ○ 『古井戸の骸骨』 塩見鮮一郎 河出書房新社 定価 本体1,900円+税 …

そこにあるものを発見して表現する力

井上ひさし『ボローニャ紀行』についての第2回目。 ボローニャという都市はイタリア半島の付け根の部分の真ん中にあります。 北はアルプス山脈、南はアペニン山脈。 そのふたつの山脈の間を西から東へ、アドリア海へとポー川が流れ込む。 そのポー川とアペニ…

ヘタな人生論より「寅さん」のひと言

吉村英夫著 河出書房新社 定価 本体640円+税 『ヘタな人生論よりイソップ物語』 『ヘタな人生論より徒然草』 『ヘタな人生論より良寛の生きざま』 『ヘタな人生論より中国の故事寓話』 『ヘタな人生論より葉隠』 河出文庫、一連のシリーズの新刊。 このシリ…

【9月のおさえておきたい本】

【ちょっと気になるおさえておきたい本】 ○ 『柳田国男入門』 鶴見太郎 角川学芸出版 定価 本体1400円+税 前回紹介した気がしますが、ただの入門書ではないはず。 ○ 『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』 佐野眞一 集英社 定価 本体1,900円+税 ○ 『…

特攻で死んだ桐生出身の少年の本

『ユキは十七歳 特攻で死んだ』 毛利恒之 著 ポプラ社 定価 本体1,300円+税 表紙の写真は、特攻の出撃直前に撮られた写真です。 みんな、間もなく死へ旅立つ時でありながらこの笑顔はなんなのだろうか。 正面の子犬を抱いた少年。 彼ひとりだけ正面を向いて…

できれば今おさえておきたい本

【岩波文庫 6月の復刊より】 ○ 『林芙美子紀行 下駄で歩いた巴里』 立松和平編 定価 本体700円+税 ○ 『政談』 荻生徂徠 辻 達也校注 定価 本体860円+税 岩波書店の7月発売で ○『徂徠学講義『弁明』を読む』 子安宣邦 定価 本体4,300円+税 【河出書房新社…

イザベラ・バードの日本紀行

先日、『イザベラ・バードの日本紀行』の下巻をレジへ持って来られたたお客さんがいて、一瞬あわてた。 あれ?上巻の方はいつ入っていたんだろうか。 このお客さんは、うちから既に上巻は買われたのだろうか。 親しいお客さんであれば、すぐに声をかけて確認…

「生態と民俗」

1冊だけ入荷した本で、自分で買おうとマークしていたものをサッとお客さんが先に買ってくれた。 嬉しいやら、悔しいやら。 野本寛一 著 「生態と民俗・人と動植物の相渉譜」 (旧題「共生のフォークロア・民俗の環境思想」青土社) 講談社学術文庫 定価 本体…

10年後の書斎

近頃はなんでも10年後を想定してものを考えるようにしています。 理論的に正しいかどうか判断がつかないようなことでも、この程度の長期的視野にたってものを考えると、おのずと正しい判断をすることができる場合が多いと思ってます。 ちょっと前の日記で 「…

分ける文化・育てる文化・蓄える文化

前回の長田弘『読書からはじまる』のつづきです。 情報の時代というイメージにつつまれた社会というのは、 あくまでも中心は「分ける」文化になる。 とりわけネット社会の進展とともに「分ける」文化は、 めまぐるしい進歩をはかってきたといえる。 この国が…

私があなたを選びました

自分には親孝行などとても縁のない世界ですが、 昨日の母の日つながりで。 以前、あるコミュで紹介されてた次の本。 参ったね。 目の花粉症が再発してしまう。 私は本屋でありながら知らなかった。 児童書担当は、以前仕入れてみたことがあったそうだけど、 …

林住期(りんじゅうき)

五木寛之の新刊で提唱している すべての人が迎える、もっとも輝かしい「第三の人生」のこと。 古代インドでは、 人生を四つの時期に分けて考えたという。 「学生期(がくしょうき)」、 「家住期(かじゅうき)」 そして、「林住期(りんじゅうき)」と 「遊…