~ここから新しい世界に出会える~正林堂

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特攻で死んだ桐生出身の少年の本

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『ユキは十七歳 特攻で死んだ』
毛利恒之 著 ポプラ社  定価 本体1,300円+税

表紙の写真は、特攻の出撃直前に撮られた写真です。
みんな、間もなく死へ旅立つ時でありながらこの笑顔はなんなのだろうか。

正面の子犬を抱いた少年。
彼ひとりだけ正面を向いて写っています。

この少年が、群馬県桐生市出身の特攻兵、荒木幸雄(17歳)。
本書の主人公です。

大空を飛ぶ飛行兵を夢見て入隊しながら、戦争末期が近づくにつれて、軍部は特攻という作戦にしか活路を見出せない状況に至る。その時代の流れに巻き込まれながらも、特攻を志願していった少年たちの素顔とはどのようなものだったのか。
著者10余年の追跡が、戦争の真実に迫る。

外国からは、特攻、カミカゼというと狂信的な軍国少年の行為として、現代のテロ集団と同列にみられがちですが、彼らの多くは普通の学業優秀な飛行機乗りにあこがれて入隊しただけの普通の少年たちだった。

この本は、今わたしが伯母の紹介で、ある近所の方が少年非行兵として戦争に参加した体験を綴る文集をつくるお手伝いをしていて、そのなかに度々この荒木幸雄少年のことが出てきたので、興味を持って読んでみることになった本です。

刊行は2004年のものですが、この時期、是非多くのひとに読んでもらいたい1冊です。