『坂本龍一の音楽』を買ってくれる人
山下邦彦/編著
『坂本龍一の音楽』
東京書籍 定価 本体10,000円+税
詳細目次 http://www5.tokyo-shoseki-ptg.co.jp/tosho_new/book/bookdata/06/4487801039.html
うちのような書店では、定価が3,000円以上の本となると、それぞれの内容で買ってくれるお客さんの顔がうかばないと、残念ながら店頭から売れることは滅多にないものです。
仏教関係や歴史書などであれば、一定のお客さんが層として把握できるのですが、
音楽、映画などの分野では、多少エンターテイメント的な要素をもったものであっても、
なかなか都会の書店のような動き方はしないものです。
それでも、
この坂本龍一の本は、仕入れずにはいられませんでした。
坂本龍一という知名度の高さと、
ポピュラー、クラシック、ジャズという幅広い人たちから関心をもってもらえそうな内容。
渋川という地方の小さな町でも、きっと一人くらいは、1万円払っても欲しがる人がいるのではないだろうかと。
・・・が、
仕入れてから、入口横の面陳列台においているのですが、
思うようには動いてくれません。
わたしはかつて太田出版から出た同じ山下邦彦編著の『坂本龍一・音楽史』を買ったのですが、7900円という勇気のいる値段も、今再度中身をみてみるまったくその価値が衰えていないことを思うと、とてもお得な買い物であったと満足しています。
わたしが、それだけの価値を感じるのは、従来の音楽書の棚には、クラシックやジャズどれぞれの解説書、入門書はあったものの、現代音楽のなかでも、シェーンベルクやジョン・ケージなどの理論が今にどのように応用されているのかといった視点では、これほどわかりやすい本は、前例がないと思えるからです。
もっとも、楽譜がスラスラ読めて、そのまま楽器にさわらなくても音が頭のなかで聴けるような人でないと、この内容は理解できるとはいえないかもしれません。
でも、私にとっては、それでも
バッハからドビュッシー、シェーンベルク、ジョン・ケージやライヒ、武満徹の理論を
坂本龍一はもとより、ビートルズ、ブライアン・イーノなどと縦横無尽にからませて解説してくれる本書は、専門的知識がなくても、十分楽しめるものです。
クラシックでイメージされる理論から入る現代音楽ではなく、すでに身のまわりに浸透している現代音楽の実像を、ジャズ、ポピュラーの具体例で、これほどわかりやすく解説してくれる本は、これまでまったくありませんでした。
決して体系的にまとめられた本ではありませんが、それだからこそ、自分の興味のあるところ、理解できるところからだけ開いても、十分楽しめる本なのです。
突然、こうした力作本を出す出版社である太田出版と
今回の東京書籍、
なんとか応援したいものですが、うちのような田舎の小さな店では、少しばかり動いても誤差のうちにも入らないかもしれない。
どうか誰か、ファンがこの本に気づいてくれますように。
『坂本龍一の音楽』
東京書籍 定価 本体10,000円+税
詳細目次 http://www5.tokyo-shoseki-ptg.co.jp/tosho_new/book/bookdata/06/4487801039.html
うちのような書店では、定価が3,000円以上の本となると、それぞれの内容で買ってくれるお客さんの顔がうかばないと、残念ながら店頭から売れることは滅多にないものです。
仏教関係や歴史書などであれば、一定のお客さんが層として把握できるのですが、
音楽、映画などの分野では、多少エンターテイメント的な要素をもったものであっても、
なかなか都会の書店のような動き方はしないものです。
それでも、
この坂本龍一の本は、仕入れずにはいられませんでした。
坂本龍一という知名度の高さと、
ポピュラー、クラシック、ジャズという幅広い人たちから関心をもってもらえそうな内容。
渋川という地方の小さな町でも、きっと一人くらいは、1万円払っても欲しがる人がいるのではないだろうかと。
・・・が、
仕入れてから、入口横の面陳列台においているのですが、
思うようには動いてくれません。
わたしはかつて太田出版から出た同じ山下邦彦編著の『坂本龍一・音楽史』を買ったのですが、7900円という勇気のいる値段も、今再度中身をみてみるまったくその価値が衰えていないことを思うと、とてもお得な買い物であったと満足しています。
わたしが、それだけの価値を感じるのは、従来の音楽書の棚には、クラシックやジャズどれぞれの解説書、入門書はあったものの、現代音楽のなかでも、シェーンベルクやジョン・ケージなどの理論が今にどのように応用されているのかといった視点では、これほどわかりやすい本は、前例がないと思えるからです。
もっとも、楽譜がスラスラ読めて、そのまま楽器にさわらなくても音が頭のなかで聴けるような人でないと、この内容は理解できるとはいえないかもしれません。
でも、私にとっては、それでも
バッハからドビュッシー、シェーンベルク、ジョン・ケージやライヒ、武満徹の理論を
坂本龍一はもとより、ビートルズ、ブライアン・イーノなどと縦横無尽にからませて解説してくれる本書は、専門的知識がなくても、十分楽しめるものです。
クラシックでイメージされる理論から入る現代音楽ではなく、すでに身のまわりに浸透している現代音楽の実像を、ジャズ、ポピュラーの具体例で、これほどわかりやすく解説してくれる本は、これまでまったくありませんでした。
決して体系的にまとめられた本ではありませんが、それだからこそ、自分の興味のあるところ、理解できるところからだけ開いても、十分楽しめる本なのです。
突然、こうした力作本を出す出版社である太田出版と
今回の東京書籍、
なんとか応援したいものですが、うちのような田舎の小さな店では、少しばかり動いても誤差のうちにも入らないかもしれない。
どうか誰か、ファンがこの本に気づいてくれますように。