~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

ブログ・オブ・ウォー

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先週、注文品として入荷した本。
「ブログ・オブ・ウォー 僕たちのイラクアフガニスタン戦争」メディア総合研究所
現品を見て、お客さんからの注文品なのか? 自分で注文したものなのか?
しばらくわからないままだった。

最近、新聞、雑誌、TV、ネットなどでふとした情報があると
枕元のノートパソコンなどからも衝動的に注文できるようになったためか、
入荷したものを見て、なぜこれを注文したのかわからないことも時々ある。
(単に記憶力の衰えたせい?)

ところが、この本、よく見るとやはり二重の意味で大事な本だった。

これは、ひとりひとりのアメリカ兵の見た戦場の姿を掲載したブログの邦訳本。
米ベストミリタリー・ブログ賞を3年連続で受賞した迫真のノンフィクション・ブログです。

 えてしてテレビの画像などからは、いかにもヤンキー風の米兵が戦地に勇ましく飛び込んでいくような姿が伝えられ、アメリカのナショナリズムも困ったものだといったような印象を持っていたが、現実には、それぞれ兵士たちは家族をかかえ、恋人を国に残し、徴兵制や遠い他国の地で闘うことにそれぞれの立場で迷い、悩む生きた人間たちである。
戦場で生きる人間の姿には、国籍やイデオロギー、宗教、経済体制を超えた共通の姿があることを思い知らされる本です。

このひとりひとりの具体的な姿というものは、いかなるジャーナリズムの優れた取材よりも、
ブログという表現方法が格別の威力を発揮することがわかる。


「良くも悪くも、ここにあるのは『本音』だ。そして著者が強調するように、ニュースでは伝えられない、だがニュースよりも速く伝わる、現場の生の声である。ブロガーたちには政治家の詭弁も評論家の視点も要らない。彼らはただ、実際に自分が目にしたものを、実際に身体で体験したものを語る。地ベタに立つ彼らに見えるのは自分たちの周辺だけだ。そこには笑える日常もあり、そして重たい真実も混じっている。」            (訳者あとがきより)


このタイトルには、ブログの見た戦争という意味だけでなく、ブログという媒体そのもののしかける戦争という意味も読み取れる。

ちょうど『編集会議』という私の好きな雑誌の今月の特集が「ニッポンのカリスマ・ブロガー」で、
そのサブタイトルは、「個人がメディアになる瞬間『プロのブログはどこが違う?」だ。

興味深い記事がたくさん出ているが、
ブロガーの情報源としての地位が、どんどん向上しているのがわかる。

製品情報について知りたいとき、どのような情報源が信頼できますか?
という問いに、

・企業の公式ホームページ
  米国 26.2%  日本 70.4%
・企業のニュースリリース
  米国 4.9%  日本 62.9%
ビジネスブログ
  米国 6.1%  日本 28.6%
・企業の社員が書いたブログ
  米国 N/A 日本 19.7%
・一般のブログ
  米国 62.9%  日本 15.0%

とのこたえが寄せられ、米国で圧倒的に一般のブログの情報源に対する信頼が高まっており、
今後、日本もこの傾向を追随することになると思われる。
ただ、まだ日本では、ブログを日記として書いている人が多く、メディアを目指している人が少ないといわれ、もしかしたらこれは国民性によるものもあるのかもしれない。


このブロガー、2006年3月末の登録者数は868万人。
SNS登録者数も716万人にのぼる。

ここに選挙による投票行動やアンケート、従来のマスコミなどよりも
はるかに強力な社会を動かす新しい力が育ってきているのを感じる。

ご用心!ご用心!