~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

『ほんとうの環境問題』

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新潮社から発売されたこの本、首都圏の大手書店では良く売れていて、
うちでもジャンジャン売りたいのだけれども、
なんせ商品が入って来ない。

一番最初に入った1冊は、そんなこと予想してなかったため自分で買ってもう付箋をつけてしまった。
肝心なタマがなく売ることができないので、安易に紹介することも出来なかった。

近く、1冊だけまた入荷する予定(悲し!)。

少し前の日記で自殺統計の国際比較を例に、一般的に寒冷地ほど自殺率は高く、温暖な国ほど自殺率は低い傾向にあることにふれて、地球温暖化は生物にとって悪いことではなく、むしろ歓迎すべきことだと書きました。
むしろ恐れるべきことは寒冷化、あるいは温暖化ではなく灼熱化であるはずだと。

自殺対策の話の流れで書いたため、半分冗談程度にしか受け取られなかったかもしれませんが、
この内容はほぼマジで書いたことです。


昨年春に出た『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(洋泉社)がベストセラーになって以来、
こうした環境問題のこれまでの常識の多くに疑問を投げかけるものは確かに増えていました。

それらのひとつのきっかけが、日本が議長国として取り決めた京都議定書への疑問。
それは実行できても実質効果の少ない内容であるだけでなく、守れない約束を展望もないままとりかわしてしまっていることにある。


(以下引用です)

そもそも京都議定書にもとづいて炭酸ガスの排出量を抑えたからといって、世界の環境は良くなるのか。京都議定書を守ったところで、全体でせいぜい2パーセント程度しか炭酸ガスの排出量は減らない。いわばほとんど焼け石に水にもかかわらず、日本は京都議定書を守るために年間1兆円もの金を注ぎ込んでいるのである。


地球温暖化についての科学的な研究の収集と整理を行う政府機関であるIPCC気候変動に関する政府間パネル)は、その第4次報告で、地球温暖化の要因のうち、太陽の影響はたった7%で、93%は人為的なものだとしている。そのうち53%がCO2の影響で、CO2の影響以外のものはブタンやメタンが要因だという。この、温暖化の要因の9割以上が人為的なものだというIPCCの報告は、果たして正しいのだろうか。

有史以前から地球は温暖化と寒冷化を繰り返してきた。そのなかで、たとえば恐竜が生息していた中生代白亜紀(約1億4500万~6500万年前)の地球は、いまよりずっと温暖で、極地でも氷床が発達しないほどだった。それほど温度が高かったのは、おそらく当時の炭酸ガスの濃度が高かったためで、火山活動が盛んだったからではないかと考えられている。

地球温暖化によって色んな生物種が絶滅するということが言われているけれども、地球の歴史を見れば、温暖化しているときには大型生物の大量絶滅は起きていない。大量絶滅が起こるときというのは、いずれも、地球が寒冷化したときである。


(略)

人間が何をしようがするまいが、放っておいても地球の気温や気候というのは変動する。そして、気候の変動要因が何かというのは、実はあまりよくわかっていないのである。どこまでが人為的な要因かなんてことは簡単には特定できないのだ。

                              (引用終わり)


たとえば、もっと大きな変動要因として
太陽黒点の数や太陽の磁気活動の変化
雲の量を決めている宇宙線の飛来量だとか、様々なことも上げられる。




いったい気温が何度上がるというのか?

(以下引用)

(今世紀中に2.8℃の温度上昇があるだろうというのがIPCCの予想の妥当な線であるが、)IPCCの予測によれば、その温度上昇による海面上昇も、これから100年間で35センチというのが妥当なところである。そもそもIPCCの予測では海面上昇は最小で18センチ、最大でも59センチでしかない。

地球温暖化の影響によって今後、海面が35センチ上昇するというけれども、もともと日本では冬と夏とで、海水面の高さの差は40センチもあるのだ。それはつまり、寒い冬になると水温が下がるので海水の体積は小さくなり、夏になると水温が上がるので海水は膨張するからである。

あるいはそもそも、一般に、満潮時と干潮時では水位の差は二メートルほどにもなる。それに比べれば、これから100年の間に海面が35センチ上昇するということは、どれほど大きな問題なのか。

            (引用終わり)

(現実に地下水の汲み上げなどが原因で100年の間に4メートルも地盤沈下した所の問題と比較して、どういった深刻な危機があるというのか?)



と、まあこんなふうなことがいろいろ書かれているのですが、
無駄なエネルギー浪費で地球環境の破壊を少しでも食い止めることは
無条件に必要なことですが、
科学的な根拠が十分ないまま、世界中がこれほどまで騒ぎ立てるには必ず主導権を握っているもののたくらむ裏があると見たほうが良い。
何も裏とまでは言わずとも、世界規模で莫大な利権が動く話だけに
それぞれの国益で戦略的に環境問題が扱われるのも当然のことだと思います。

そうした現実に対して日本は、あまりにも戦略なきままに
莫大な無駄金を投じすぎている。

その根幹に石油エネルギー中心の経済からどう脱却するかという問題がある。

ところが、現在のCO2排出削減の問題は、
いわば出口政策であって、石油消費依存体質からの脱却は後回しにしたままの環境対策であるといえる。
それは今のガソリンの高騰にみられるように、ほとんどアメリカメジャー資本の石油会社にとっては、環境問題が騒がれるほど限られた石油資源の消費は抑えられ、そのことで希少性はたかまり、値上げの口実をつくりながら、枯渇を先送りし長期にわたって利益を生み続けることができる構造をつくっている。

現に、石油最大大手のアメリカのエクソン・モービルは、2006年12月期決算では純利益が395億ドルで、アメリカの企業として過去最高益となったその前年の361億ドルをさらに上回った。

また、京都議定書から離脱したほどのアメリカが懸命に国策として取り組んでいるバイオエタノールも、国内の余剰農産物の売り先需要を確保して穀物相場の高騰、原油高の原因をつくったうえでの環境対策ということで、エネルギー消費を根本的に抑制するような環境対策にはなっていないビジネス戦略といえる。


繰り返しますが、石油を中心にした浪費社会から脱却するために、たとえ小さなことでも緊急にできることはなんでもしようという考え自体は大事なことです。

しかし、その実、表面の宣伝だけに踊らされると、金儲けを目的にしている人や利権主導権を握った人に踊らされているだけで、現実には実効性のない浪費に加担しかねない実体をもっと注視すべきではないかと、こうした最近の本は問いかけています。


で、さらにもうひとつこの裏にある問題を次回に書きます。