~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

『ほんとうの環境問題』の環境問題

前回、紹介したこの本、
池田清彦養老孟司著『ほんとうの環境問題』新潮社
引用をあえて多くしましたが、
実は、これは環境問題に配慮してのことでもあります。

その理由は、
良い本だからといっても、紙の本を大量に印刷し運搬していたのでは、
環境問題を語りながら石油エネルギーをさらに消費し、
返って環境に対する負荷を増やすばかりだからです。

イギリスでは、フード・マイレージ(食べ物の重さとその輸送距離を掛け合わせた数値)表示が定着しているようですが、本などの情報も、マイレージをやたら増やすものは考え直す必要があるかもしれません。

自分は豪邸に住んで大量の電気を消費しながら環境問題を訴えるゴア元副大統領や、
冷房をガンガン利かせた会場を使ったり、エンジンかけっぱなしの車を待機させながら会議をしている環境問題論議と同じことになってしまう。

これえらの矛盾に応えるには、
環境のためには、良い情報はデジタル化してどんどん無料で流し、
どうしても紙の本で欲しい人だけ、本屋で本を買うべきだという方が
環境を真に語るに値すると言えるのではないでしょうか?

このことに関して著者の池田清彦氏、養老孟司氏には、
申し訳ないけど著作権侵害云々といったみみっちいことを言う筋合いはない。(なんてね)


本屋が、なにを自らの首を絞めるようなことを言ってるのかって思われるかもしれませんが、でも時代は間違いなく、そういう流れになっているのです。




てなことで、
残念ながらこれからの本屋の仕事は、
デジタル情報中心の世の中で生きていくことを前提にして、
どうしても紙の本にこだわる人にだけ、

え?お客さん、
紙の本が欲しいんですか?
ツウですね~。

なんて会話を交わして売ることになる。

これは冗談話ではありません。
すべてがそうなるわけではありませんが、
ほんとうに多かれ少なかれそのようなことは現実化すると思います。

したがって、このブログの表現方法の言い訳というわけでもありませんが、
本の内容のネタばらしにつながるような引用も、必要とあらばジャンジャンしてしまおうと思うのです。

コンテンツビジネスの世界では、こうした流れは既に始まっています。

私たちの商売はこのことを前提に考えなくちゃね。

(以上、売りたくても1冊しか入荷しない力のない本屋のいい訳でした)





このことは、まだ二,三の補足説明を要するかもしれません。
それは過去に書いたことがありますが、また機会があれば触れると思います。
(ひとつは、本の価値=ハードと物流コスト以外の商品価値のことと、情報そのものの値段は、本来タダ(無料)であること。
もうひとつは、無料を前提にした価値の表現方法のことです)