~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

失われた悩む力を取りもどす「べてるの家」

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 今日も、明日も、あさっても、
       「べてる」はいつも問題だらけ
                  ー それで順調!




これから年末の大掃除の段取りを書き出して、パートさんに分担してもらっていたら、
当店自慢のB型のパートに、
「そのなかのプレハブ倉庫の中の掃除は店長が先に早く片付けてくださいね」
と煽られてしまった。

渋々、いろいろ溜まった書類やらゴミやらを片付けていたら、
5年ほど前に1冊の本の紹介で作ったチラシが出てきた。
A3ペラ1枚にまとめたもので、大事な本はこんなふうにまとめて積み重ねて紹介していけたら、かなりの財産になると思っていたものですが、
ホームページやらブログやらやりだしたら、すっかり手が出なくなってしまっていた仕事。

本来、ホームページとブログとメルマガと、紙のニュースがセットになってこそ、
広報活動は完成するものだけど、ずっと挫折したままです。

このチラシは、北海道の「べてるの家」の活動を紹介した本のもので、
べてるの家の「非」援助論 そのままでいいと思えるための25章』
    医学書院(2002/06) 定価 本体2,000円+税

紙面の構成からイラストの挿入、内容の抜粋の仕方など、
自分としてはとても上手くいった自信作で、版下まで紛失してしまい悔やんでいたもの。
出てきてほんとに良かった。
B型のパートに感謝。




内容を再記するとざっと以下のようなものです。



 「べてる」は、いつも問題だらけだ。
今日も、明日も、あさっても、もしかしたら、ずっと問題だらけかもしれない。
組織の運営や商売につきものの、人間関係のあつれきも日常的に起きてくる。
一日生きることだけでも、排泄物のように問題や苦労が発生する。

 しかし、非常手段ともいうべき「病気」という逃げ場から抜け出して、
「具体的な暮らしの悩み」として問題を現実化したほうがいい。
それが仲間どうしで共有しあい、その問題を生き抜くことを選択したほうがじつは生きやすい
――べてるが学んできたのはこのことである。

 こうして私たちは
「誰もが、自分の悩みや苦労を担う主人公になる」
という伝統を育んできた。

だから、苦労があればあるほどみんなでこういう。

「それで順調!」と。

                         (本書23ページより)




◎ 右下がりに生きる!

 べてるのメンバーが精神障害という病気と出会って学んだいちばん大切なことは、
「生き方の方向」ではないだろうか。

 誰でも、子どものときから大人に至るまで、勉強にしろスポーツにしろ、
他人より秀でていることを善しとする価値観のなかで精いっぱい生きている。
歩けなかった赤ん坊が歩きはじめ、知恵がつき、言葉が与えられるのと同じように、
できなかったことができるようになることが、まるで人間の当然のプロセスであるかのように。

 しかし元来、人間は人として自然な生き方の方向というものが与えられていつのではないか。

その生き方の方向というのが、
「右下がり」である。

昇る生き方に対して「降りる生き方」である。

 現実には多くの人たちが、病気になりながらも「夢よもう一度」の気持ちをすてきれず、
競争しつつ「右上がり」の人生の方向を目指している。
何度も何度も自分に夢を託し、昇る人生に立ち戻ろうとする。

ところが不思議なことに、「精神障害」という病気はそれを許さない。
「再発」というかたちでかたくなに抵抗する。
まるで「それはあなた自身の生きる方向ではないよ」
と言っているかのように・・・・・。

                          (本書40ページより)



◎ 失った「悩む力」をとりもどす


 多くの当事者は病院を生活の場とし、苦痛を除かれ、少しの不安も不快に感じ、
薬を欲し、悩みそれ自体を消し去ることを目的とするかのような世界で長年暮らしてきた。
そのなかでかれらは、
「不安や悩みと出会いながら生きる」
という人間的な営みの豊かさと可能性を失う。

 しかしべてるは、失った「悩む力」を、生きながらとりもどす場だ。

 かつて苦しんだ競争原理に支配された日常のなかに、
ふたたび何事もなかったかのように舞い戻るような「社会復帰」はめざさない。
一人ひとりが、あるがままに、「病気の御旗」を振りながら、
地域のかかえる苦労という現実に「商売」をとおして降りていきたい。

                          (本書46ページより)



ああぁぁ・・・
この抜粋箇条書きでは、ちっともまとまってませんね。
チラシはうまく出来たと思ったのだけど。

でも、この「べてるの家」の世界観、
教育現場や家庭、職場、地域など、場所を問わず
やっぱりコピーしてもっと多くの人に伝えたいです。