~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

競争やめたら世界一 経済編

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お客さんがレジに持ってきた商品をみて
えっ?こんな本が出てたんだと驚いてしまうことが時々ある。

昨日は、お客さんのもってきた雑誌の特集タイトルをみて
ハッとしてあわてて自分も買った雑誌がある。
週刊東洋経済
「北欧はここまでやる。格差なき成長は可能だ!」

たぶんこの日記でも紹介したことあると思いますが
『競争やめたら学力世界一』(朝日新聞社)という
フィンランドの教育手法が世界的に注目されていることを
私はよく話しています。
よく昔から福祉の領域で話題になる北欧モデルですが、
90年代の大不況を乗り越えてからは最近では
経済成長のモデルとして北欧があらためて評価されている。

週刊ダイヤモンドとならぶ週刊ビジネス誌東洋経済」で
こうした特集がされるまでに注目されるようになったことに
時代の変化と今の危機意識の深さ感じた。

とどまることのない米ドルの地位の低下に対して、
ユーロやその他の経済圏のゆくえが注目されていますが、
高い税負担や米とは対照的な平等社会を実現している北欧が、
どうしてその他の先進国をしのぐ経済成長を成し遂げているのか
その理由を簡潔に整理してくれている特集記事です。


1人あたりGDPは、北欧4カ国がすべてトップ20に

1、ルクセンブルク
2、ノルウェー
3、アイスランド
4、カタール
5、スイス
6、アオルランド
7、デンマーク
8、米国
9、スウェーデン
10、オランダ
11、オーストリア
12、フィンランド
13、英国
14、オーストラリア
15、日本
16、ベルギー
17、フランス
18、カナダ
19、ドイツ
20、イタリア


『競争やめたら学力世界一』で紹介されているフィンランドの教育事例を知り、学力低下が叫ばれる日本からも視察団が大挙して出かけている。
しかし、その実態を見てもほとんど日本に取り入れることは出来ていない。
なぜならば、伸ばすべき「学力」の定義が違うからだ。

それと同じことが福祉でも経済でもいえる。
徹底した「分権」「情報公開」を軸にして
あくまでも自立の支援のためとして公共予算を思い切って投入していく。

財政赤字や今のジリ貧福祉の対策として
税率を7%に上げる10%にあげるなどという発想では
およそ追いつくことのできない社会観がそこにはある。

だいぶ前にA・コーンの『競争社会をこえて』(法政大学出版局)という本の紹介で、自由な競争こそ社会の成長を支えるかのような表現がよくされますが、その競争社会の内部を見ればみるほど、そこには、企業の内部であっても、スポーツ競技の競争社会であっても、はるかに多くの協力関係の実現によって支えられている実態がある、ということを書きました。

北欧モデルの経済、福祉、教育の事例は
決してすべてがバラ色というわけではありませんが、
これからの社会を考える大事なヒントをわたしたちに与えていることは間違いない。

1冊の専門書を買うよりも
簡潔にうまくまとめられた特集なので
是非みなさんにおすすめしたい雑誌です。