~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

新しぶかわ 四季の花

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木村拓郎 著 『新しぶかわ 四季の花』 
  上毛新聞社(2008/3/20) 定価 本体1,143円+税

こういった本こそ、もっと早くここで紹介しなければいけなかったのに、
この本の魅力をきちんと把握していなかったばかりに、遅くなってしまいました。

著者は既に『たかやま高原 四季の花』という類書を同じ上毛新聞社から出されいます。
県下の高校の先生をされていたこともあり、地元では知られた方です。
でも、今回の著作が広域新渋川市を対象にした本であることにより、前回の著作をはるかにしのぐ好調な出足で、これでより多くの地元の皆さんに認知されることになったと思います。

といっても、店頭に買いにくるお客さんの多くは、木村先生の本はありますか?
と尋ねてくる方が多いので、まだ裾野がまだそれほど広がっているわけでもないのかもしれません。

そこで、この本の真価をもう少し皆さんにお伝えしておきたいと思います。

まず、第一に、四季の草花の本はたくさんありますが、このように渋川という地元に生息しているものに限定してまとめられた本は、他にありません。
写真集で安原修次さんの『赤城山の花』『あがつまの花』というすばらしい本もありますが、渋川という地理でくくったものはまだありませんでした。

そればかりか、地元であっても、その草花がどこに咲いているのかということを、明確に記したものも意外と少ないものです。
もちろん、木村さんは、生態学的な調査まではしているわけではなく、散策のコースで、
子持山方面に行ったらこんな草花がここにあった。小野池あじさい公園にいったらこんな花が咲いていた、といったコースごとに記しているものですが、実際に植物の観察をしようとしている者にとっては、機械的に分類された市販の図鑑よりも、このほうがずっとわかりやすいのです。

そうした意味で、この本は、地元の書店では末永く売れるものになるかと思います。

第二には、図鑑を頼りにするひとのなかには、意外とリアルな写真よりも、イラストスケッチ画の方を好む人が多いものです。本書も木村さん自身の暖かいタッチのスケッチによるもので構成されています。
図鑑は、写実的な写真の方がわかりやすいように思いがちですが、本格的な図鑑でも、その植物の特徴を的確に伝えるには、イラストスケッチの方が意外とわかりやすいものです。

そしてこうした草花を根気良く私たちが探し出す一番の助けとなるのが、地元のよく知れた地名、土地柄の記述をともなってそれらの草花が紹介されていることです。
どうしても、学校の先生が本をまとめると、教科書的な記述になりがちですが、本書は、木村先生のお人柄もなんとなくにじみ出たもので、渋川周辺の野山を歩くと、木村先生もおそらくこの道を歩きながらスケッチをしていったのだろうと想像されます。

発売からもう2ヶ月以上経ちましたが、このまま止まることなく売れ続けることを願います。

もちろん、先月の当店売れ行きナンバーワンです。