~ここから新しい世界に出会える~正林堂

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やはりスゴイ!このオペラシリーズ

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DVD決定盤 オペラ名作鑑賞 Vol.2

ヴェルディ「椿姫」  世界文化社 


う~ん、このシリーズ、初回配本の「アイーダ」について前に書きましたが、
今回の2回目の配本「椿姫」をみて、やっぱりこれはスゴイと思いました。

今度の組み合わせは、パルマ王立歌劇場でヴェルディ没後百周年記念として2001年に企画されたものと、グラインドボーン音楽祭で上演されたもので構成されています。

このパルマ王立歌劇場の演奏は、初演以来一度も上演されたことのない初演版の蘇演。
現行版(54年版)が、ヴェルディが言ってたようなほとんど手を加えていないものではなく、相当改訂されたものが判明したものであることがわかったため、この演奏が資料的にも音楽的にもとても貴重な記録となっている(らしい)。

(といっても私には、何がどう違うのかはまったくわからない)

でも没後百周年記念講演とだけあって、その舞台美術から撮影のカメラワーク、編集に至るまで実に良くできている。

舞台芸術にもかかわらず、照明が実にしっかりしているので、自然光のような影がくっきり肌に映っていた。
そのせいか、ヴィオレッタを歌うダリーナ・タコーヴァの肌のなんと美しく見えることか。
計算しつくされたカメラアングルがとられているので、背景に映る脇役の表情も、とてもしっかりと活きている。

総じて、小学館のシリーズが、劇場公演のリアリティーを再現しているのに対して、
この世界文化社のシリーズは、最良の劇場公演版と、映画オペラや今回のように舞台を感じさせない映像化に力を入れた作品との組み合わせになっている。

当然、好みの問題かと思いますが、これだけの名作、名演を、生涯かけてもそう何度もナマで観る機会は考えられないものにとっては、やはり、多少無理をしてでも買う価値のあるシリーズだと思います。

この「椿姫」、先日は、紀○国屋書店のデイリーベストの第一位にもなっていました。


同じ日、小学館のシリーズ、チャイコフスキー「エフゲーニ・オネーギン」も買って観たのですが、この作品は有名なアリア以外は初めて観て、聴いた作品。

20年以上も前、タマーラ・シニャフスカヤというメゾソプラノ歌手が来日したとき、仕事で関わる機会に恵まれ、素敵なアリアだなあと感心して聴いた記憶がある。
そのとき、オペラ歌手(ごく一部の)が喉の刺激を避けるため、ビールを温燗でのむことを知り驚いた。ホテルの方も、初めての要望に応えるため、どの程度あたためたらよいのか、さぞ緊張したことだろう。

こっちのシリーズを観ると、せっかくの名演でも、こうしたカーテンコールのないオペラなんて、やっぱりつまらないと思ってしまうのだけど、なんともどちらも甲乙つけがたい。

このシリーズで、いっそアルバン・ベルクの「ルル」なんてあたりまで出してくれたらいいのだけどなぁ。