~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

うちの店の棚の特徴

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ちょっと前の写真で申しわけありませんが、当店の文芸書の棚の写真です。

文芸書のコーナーといってもよその書店の棚とはちょっと違います。

俗に文芸書と呼ばれる四六版・ハードカバー本の棚に、文庫サイズ、新書サイズの本がごちゃまぜに一緒に陳列されています。

これが従業員には、すこぶる評判が悪い。

どこになにがあるのか、出版社別でも、単純な分類別でもなく、
それぞれの話題の本のまわりに、それらしいキーワードでそれとなくまとまりになっているのです。

かつて、環境問題とか、国際政治とかの表示、仕切りをつけてくくったこともありますが、
それだとその表示につられて、商品をそこにはめ込むようになってしまい、
面白い本、話題の本を軸にした生きた棚でなくなってしまうのを感じたことがあります。

それであえて分類的な表示やくくりはせずに、話題の本の表紙をできるだけ見せることだけで、
その棚がなんの本のコーナーか印象づけるようにしているのです。

これは、じっくり見てもらうには面白い棚だと思うのですが、馴れないお客さんや指定買いで来られたお客さんには、とてもわかりづらい棚なのではないかと思います。

ところが、
このやり方に変えてから書籍の売り上げは、おかげさませずっと伸び続けています。
もちろん、これだけが理由ではありませんが、
目の高さに話題の本をおくのは当然ですが、衝動買いにつながる単価の低い文庫本や新書を目の高さの関連書につなげておくことで購買頻度があがったものと思われます。


ここでも売る側のことととしてですが、以下のことに気をつけるのがとても難しいのです。

それは、これは売りたい本であるとか、良い本であるとかにあまりこだわってしまうと、
商品が固定化してしまい、いい本があるねとお客さんに褒めてもらえながらも、
売上の数字が伸びないことになってしまうのです。

やはり本屋として、お客さんにほんとうに満足してもらうには、
良い本は確かに大事ですが、それ以上に、来店していただく度にもっと面白い本があることに気づいてもらえるような棚でなければならないのです。

たとえ過去の気にいっていた並び方が崩れてでも、棚は変わりづづけることの方が大事なのです。
それを継続することがとても難しい。

一時的に商品や陳列のレベルが下がってでも、棚を変えることがとても大事なのです。


そんなことを言っても、まだこのような本の並べ方をしている店を他で見たことがないので、
いまひとつ確信にならないのですが、数字が伸び続ける限り、この方式をまだ続けようと思っています。