~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

高崎のジュンク堂さんに行ってきました

いよいよこの群馬県にも、本格的な大型店の紀伊国屋書店さんとジュンク堂さんがそろい踏みしました。
ジュンク堂は、高崎駅前の高崎ビブレにコミック館として営業していたところに本格的な総合書店として増床することになり、5月28日オープンしました。
 
紀伊国屋書店さんがワンフロアで650坪くらいなのに対して、こちらは2フロア(6、7階)で620坪。
売り場面積は僅かに少ないにもかかわらず、図書館のような高い棚をびっしり並べているので、紀伊国屋書店さんよりも在庫は多く感じます。
 
おかげで日頃現物を目にすることが出来ない本も、かなり実際に手にとって見ることが出来るようになりました。
かつては、煥乎堂さんや新星堂さん、戸田書店さんなど2~400坪のお店だけをたよりにしていたのが、同じ市場環境のなかでブックマンズアカデミーさんが高崎、前橋に出来たのに加え、高崎駅くまざわ書店さんや広さだけはイオンのなかの未来屋書店さんも含め一挙に2000坪、いや3000坪あまりの売り場が増えたことになります。
しかも、みんな市場が縮小時代に入ってからのことです。
 
私たち、本好きにはありがたいことこの上ないのですが、経営や現場の皆さんの苦労は大変なものかと思います。
それでこれらの大型店が、それぞれの特徴を出して棲み分けをしていただけると、さらに有り難いのですが、そこまで期待するのはなかなか難しいかもしれません。
 
そんな期待をもって高崎のジュンク堂さんの棚を見ると、図書館のように専門書のアイテムを増やした棚構成が、個々の専門書をゆっくりと見てみると、そのスタイルが意外と読書家の専門書の期待に答えることよりも様々な専門実務書のほうに重点がおかれているように見えてきます。
 たとえば、人文社会科学などの分野では、需要が多いと日本史や民俗学などの分野の本はやや物足りなさを感じるほどで、ブックマンズアカデミー前橋店のほうが品揃えは好い感じがします。
 建築やデザインなどの棚を見ても、需要の多いデザイン事例集などが意外と少ないようで、そんな見方をするとコンピュータ書なども、プログラミングなどの専門書が充実しているわりには、需要の多いパソコンの表計算ワープロの品揃えは格別多いわけではありません。
 この辺も、需要を優先する本屋の考え方というよりも、品揃えの幅を優先する図書館の考え方に近いジュンク堂さんの特徴が出ているといえるのかもしれません。
でも十数年前に神戸のジュンク堂さんで見たような、人文社会科学の函入りの高額学術書までは、さすがにあまりおいてはありませんでした。

ただ、立地が駐車場のある大型店と違って駅前立地ということが、同じ駅前一等地でも都心と違って駅ビルを離れるとガクンとビジネス層は減り、6時を過ぎた頃から人通りも急激に減ってしまう地方都市なので、車で寄れる郊外型大型店に比べると、かなり厳しい環境にあるように見えます。
前のコミック館としてだけの立地は、悪くなかったことと思いますが、その同じ条件で専門書を多くの競合店が既にあるなかで売るということは、かなり難しいのではないかと心配してしまいます。
 
でも今の時代、厳しいことはどこも同じなので、どんな手でそれぞれのお店が差別化をはかってくるのかはとても興味深いところです。
今の業界の数字から見れば、どう考えても過剰競争としか思えませんが、良い本屋が増えるのならば、多くの人たちにとってとても良いことに違いないので、現場のスタッフの皆さんにはなんとか頑張ってもらいたいものです。

そんなことを考えていたら、昨日早速、うちのお客さんがある人の著作集が発売後間もないのに版元品切れで困っていたので、この時とばかりにジュンク堂さんならばこうした本こそある確率が高いのではと紹介してみました。
そのお客さんも、もし目的の本が無くてもあの棚と在庫を見れば驚いて、わざわざ遠くまで足を運んだことを後悔することはないと思います。
 
今のところ、群馬県下では、総合点では紀伊国屋書店さん、棚の練り込み度では前橋のブックマンズアカデミーさん、規模は負けてもツボはおさえている戸田書店前橋店さん、といった感じですが、そこにどのような形で食い込めるのか、とても興味深いところです。
どこをとっても大変な時代ですが、お互いにみんな頑張りましょう!