~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

1年で好きな季節は?

記録的な暖冬の日々、
数日前、久しぶりに寒くなった日がありました。

その日の夕方、たしか昨年、定年退職した馴染みのお客さんが、
「寒いねー。」
とレジに本を出しながら私に声をかけてきた。
その方は、たしか体調をこわして早期退職したらしく、
いかにも冬は弱そうにみえる様子でしたが、私は
「冬はこうでなくちゃね。」
と、応えました。

暖冬でなかったら、この返事は
体が弱そうな人には意地悪な返答だったかもしれないが、
そのひとは
「そーだいネー。」
と応えてくれました。

それだけのこと、
私はうれしかった。

私は冬が好きです。

いつごろからなのかは覚えていないが、
よく人から、好きな季節はいつ?
と聞かれると私は、
「春。
 と、夏。
 と、秋。
 と冬。」
と応える。
「なんだ、全部じゃん!」
と冗談話に受け取られる程度のことで終わることが多いのですが、冗談でそう言っているのではない。

枯葉散り、木枯らし舞う秋は小さいころから大好きで、
雪であたり一面が真っ白にそまる冬が大好きで、
新緑とともに一斉に命が芽吹く春が大好きで、
詩なんか書けなくても詩情をそそるような雨の6月が好きで、
これでもかというほどエネルギーを降り注ぐ夏が好きなだけのこと。

こういった表現にたいしては、ほとんどひとは異論はないと思う。
ところが、
「あなたの好きな季節はいつですか?」
という質問をされると、多くのひとは
春夏秋冬のどれかを選択することが暗黙のうちに
要求されているされているような気になってしまう。

どれかひとつを選んで
「春が好き」などと言ってしまうと
必然的に残りのなかからキライな季節を言うことが
当然のように習慣づいてしまっている。

でも、好きな季節を応えたら
次にキライな季節を応えるというのは
誰が決めてるルールなの?

そんなルールはどこにもない。
そう習慣付けされてるだけじゃないの。

現代人は、日常のあらゆる面に、
相対主義的なものの見方が浸透しきってしまっている。
いいもの、好きなものと
悪いもの、キライなものを
半分ずつにわける必要など、世の中どこにもない。

いいもの、好きなものを無限に増やして、
悪いもの、キライなものを無限に減らして
誰も困るひとはいないのに・・・・

総じて、四季の中でも冬は嫌われることの多い季節かもしれませんが、
「冬のなかで好きな景色はなに?」
「冬のおいしいたべものはなに?」
と、設問を変えるだけでも
冬は楽しくなる。

設問を変えなくても、私は冬が好きですが、
相手に言葉を投げかけるときに、
ちょっとした方向を変えるだけで、
相手もプラスの返事を返してくれるようになる。

これは言葉のテクニックの問題だろうか。
私は、そうは思わない。

あーーぁぁぁ
これをうちの社長に使えるようになれればいいのだが、