~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

全国地芝居サミット・渋川三原田

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全国地芝居サミットが、今年は渋川市三原田の歌舞伎舞台をつかって
11月24日(土)25日(日)の二日間にわたって行われました。

私は、三原田の歌舞伎まわり舞台の上演風景は、今回はじめてみることができました。
それは全国サミットという機会に恵まれたこともあり、まったく予想以上のすばらしい内容でした。

その第一が、ほんの一部しか見ることはできなかったのですが、
各地の子供歌舞伎の復活と盛り上がりのことです。

群馬県は、この回り舞台のような地方歌舞伎舞台が数多くのこっていることで有名のようですが、
それをこの三原田の舞台のように現代でも当時の姿のまま利用しているところは、そう多くはありません。
それは単に舞台のあるなしではなく、現実には、その継承者の問題が大きいのだと思います。

ところが、こういう芸能の場合、台本が受け継がれてさえいれば、
一度、その継承は途絶えたかのように見えても、
簡単ではないにしても、
それはなんとか復活させることは可能であることが
今回の経験でわかります。

いまどき歌舞伎なんか興味を持ってくれる若い世代など、なかなかいないのではないか
と思われがちですが、
学校教育の場などできっかけさえ与えてやれば、
けっこう興味を持ってくれる子供たちがたくさんいることに気づきました。

いや、そうした子供がいるということだけではなく、
子ども自身が結構一生懸命に練習を重ねてくれるようで、
なかなかバカにならない立派な作品にまで仕上げているのを見て、
再度、
ビックリさせられました。
大人が、みんな涙を流して観ているのです。

その子供の姿をみて、親が脚本に興味を持ったり、
歌舞伎の魅力に巻き込まれたり、
その波及効果もかなりのものがあります。

ちょっとした呼びかけ、きっかけさえ与えられれば、こんなにすばらしいものが出来るのかと
これからの可能性に大いに期待が持てました。

増して、こんなに素晴らしい舞台で発表する機会が持てるのなら、
もっとその輪が広がっていくことと思えました。


そう、
この三原田の舞台のすばらしさ。
地元の人たちの協力でくみ上げられた観客席のドームの立派な技術に
なによりも感動しました。

これだけ大掛かりなものを昔のままに再現できるということ、
とても素晴らしいことです。

この観客席のドームをくみ上げるのには約二ヶ月間、
のべ700人ほどの人手がかかっているといいます。

太い杉の丸太を2間の間隔で柱をわたし、
その間を青竹で格子を組み、
筵で日を遮る。

ひとつひとつの作業の積み重ねでできあがったもの
そのかたちはとても美しい。

さらに、受付や売店なども当時の雰囲気を再現し、
会場全体を筵で覆っているので、異質の空間に入った構造がうまくできていて
劇場空間としても、とてもすぐれたものになっている。

こうした沢山の人手を動員する協力作業の技術が受け継がれるということは、
ヘタな文化活動よりもずっと価値あることだと感じました。
すばらしい文化遺産をもっていることを、
ほんとに久しぶりに誇りに思える企画でした。