~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

「自分の感受性くらい自分で守れ」茨木のり子

イメージ 1

毎度散らかった机の上を整理していたら、ちょっと前の出版社のDMが出てきた。
10月にテレビ放送された「3年B組金八先生」で、
教え子美香へ金八先生が読み上げた詩の載っている本。

もう遅いのだけど、注文しておいた。




「自分の感受性くらい」茨木のり子

 ぱさぱさに乾いてゆく心を
 ひとのせいにはするな
 みずから水やりを怠っておいて

 気難しくなってきたのを
 友人のせいにはするな
 しなやかさを失ったのはどちらなのか

 苛立つのを
 近親のせいにするな
 なにもかも下手だったのはわたくし

 初心が消えかかるのを
 暮しのせいにはするな
 そもそもが ひよわな志にすぎなかった

 駄目なことの一切を
 時代のせいにはするな
 わずかに光る尊厳の放棄

 自分の感受性くらい
 自分で守れ
 ばかものよ

    『茨木のり子詩集 落ちこぼれ』理論社 より





ぱさぱさに乾かないための水やりは
毎日の作業。
そのまま本屋のキャッチコピーでも使えそうだ。


本屋で詩集のコーナーなどもうけてもなかなか売れるものではないけど、
寺山修司谷川俊太郎金子みすず茨木のり子だけは
星野富弘相田みつをなどとともに切らせない作家です。