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それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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おすすめ本の紹介。

加藤陽子
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
   朝日出版社 定価 1,785円

今の時代では、ちょっと誤解されそうなタイトルですが、これはわたしの好きなタイトルのつけ方です。

とくに、わたしのホームページ「かみつけの国 本のテーマ館」のなかの第7テーマ館「今、戦争をどう語るか?」の中心テーマを代弁総括してくれる内容とも思われるので、力を入れないわけにはいきません。

そう言っていながら初回仕入分は、今日売り切れていましました。
追加の入荷は26日(水)以降になります。

これまで数限りない本で、戦争について軍部の暴走や押しつぶされていく言論などについて語られてきました。
ところが、「なぜ、そうすることしか出来なかったのか」という歴史考証で一番大事なことについて、多くの本はあまりにも安易に後世の視点で断罪するにとどまっています。

それは、歴史を語る上での原則「もしも」は語ってはならないことの真の意味が伝わっていないのだと思います。

いつの時代でも、どの国でも、「戦争」は悪いに決まっている、絶対にしてはならないと思っている。
にもかかわらず、今でも引き続き戦争は、世界いたる所でおきています。
そればかりか、「戦争放棄」をうたっている日本ですら、「現実には」戦争に参加せざるを得ない経緯があった。
多くの人が反対したアメリカのイラク侵攻にさえ、ストップをかけることはできませんでした。

圧倒的多数の人が、「戦争」は悪いに決まっていると思っていながら、ほんの一部のそれを欲する人と、そうすることしかできないと判断して事実上それに協力する人びとの手で、大半の戦争は合法的にはじまるのです。

わたしは反対です。
私たちは一貫して反対していました。
ではなくて、
どうしてそれにもかかわらず戦争は起きてしまったのかという歴史の事実を、まだまだ私たち日本人はしっかりと観きれていないのではないかと感じるのです。

その昨日の自分の姿が、しっかりと見えないから、北朝鮮に対する外交もアメリカ頼み以外の手がうかばないのではないでしょうか。

何度でも繰り返しますが、歴史は常に
「そうすることしか出来なかった」
その動かしがたい現実を体験しているからこそ、わたしたちは
「だからこそ」のことばとともに明日への決意と努力が生まれるのだと思います。

他方、歴史を見て「だからこそ」、
「そうすることしか出来ない」
のだという人々もたくさんいます。

最近はそういった人の方が多いのかもしれない。

良識のある本屋さんであれば、客観的公平な立場でものを言えるのでしょうが、わたしはそうした立場はとりません。

過去については、
「そうすることしかできなかった」ことの意味は限りなく重い。
しかし、未来については、絶対に
「そうすることしかできない」という人々に共鳴はできません。

「だからこそ」
だからです。

わたしは本書をそうした議論のための最高の1冊としておすすめします。