~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

酒井大岳さんの本

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群馬の本屋にとって、地元の方としてマークし続ける大事な方の一人に酒井大岳さんがいますが、
意外とあさを社さんの常備図書以外の売れる本が、どこでも店頭にないことが多いようです。

当店でも、新刊が出ても自働配本があるわけではないので、大事な本が棚にないことがあります。

そんななかでも地元あさを社さん以外では、家の光協会の『りんりんと生きる』『こころを生かす』『さらさら生きる』、大法輪閣の『あったかい仏教』、JULA出版局『金子みすゞの詩を生きる』などは、コツコツ売っていたのですが、これ以外にも良い本はたくさんあります。

最近、偶然古本屋で見つけた本
『野に語る・般若心経』光雲社
  定価 本体1,600円+税
これも、とてもすばらしい本でした。

残念ながら、急いで店でも注文したのですが、1冊しか入手できませんでした。
ちょっと重版は容易にはされそうにない雰囲気でした。

この1冊が売れてしまうのは時間の問題かと思い、ここに書いても売ることのできない本になってしまうのですが、書かずにはいられません。
ったく気づくのが遅くて申しわけありません。

これまで酒井大岳さんほど、金子金子みすゞの魅力をよく伝えてくれている人もいないと思っていましたが、さらに般若心経の核心を、この本ほど簡潔に言い表してくれている本もないと思ったのです。

残念ですねぇ。
光雲社さんが、この記事をみて重版の決意をしてくれるとありがたいのですが…

いや、それともどっかの大手版元が文庫化の版権を取ってくれてもいいです。


その日のためにネタばらしは極力さけたいところですが、
ひとつだけ本書に出てくる酒井さんの句を紹介させていただきます。



   がうがうと去る時の上に耕せる



「がうがう」というのは時の流れの音なのですが、
「それも、一年や十年の時の流れじゃなくて、何億年、何億光年の時の流れなんです。それが、いっぺんに過ぎ去ってしまうから、「流れる」といわずに「去る」といった。そんな長い時間も、過ぎてみれば一瞬じゃないですか。」
そんな時の上で、生きるために耕している。

般若心経の真髄をこれほど簡潔に伝えてもらったことはないと思いました。

残念、
最後の1冊、早い者勝ちですよ。