~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

私の手作り栞 その3

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2006年の夏、
お店のスタッフが気がついたことをホームページに書いていたら
ふとしたお客さんとの会話から、そのことがどうやら
大発見につながることであることが見えてきました。

それは、渋川市北方の赤城、子持方面から小野子山の裾野を見ると、
その山のかたちが美しい女性の寝姿に見えるということす。

ただ単に山のかたちが、人の姿に見えるだけなら格別珍しいことでもないのですが、
このことで大発見につながったのは、この女性の寝姿の形が、
安産、子宝信仰の子持神社の参道を登って神社に近づくにつれて、
お腹がだんだん膨らんでくるように見えるということです。

はじめのうちは、子持神社との関連性に気づかず、
ただ見る場所によってお腹が膨らむということで、
「孕んだ眠り姫」というだけの話題にしていましたが、
子持神社との地理関係に気づくにしたがって、子持神社、子持山、小野子山それぞれの関係が、
すべてこの女性の寝姿に端を発しているように感じられてきたのです。

これは、下手な町おこし事業をやるよりもずっと、ロマンあふれる郷土作りにつながるのではないかと、
この子持の万葉歌のしおりの普及とともに、この話題を広くひろめるように
あちこちのネットコミュなどに書き込みながら宣伝を始めました。

地元の子持周辺の会うひと会うひとに、このことを聞きまくりましたが、
女性の寝姿の山のことは知っていても、
子持神社に近づくにしたがってこの女性のお腹が膨らんでくるということは、
ほとんど誰も知りませんでした。


そして、説明文を改良してつくられたのが、次の万葉東歌の栞。

子持山 若かへるでの 黄葉つまで 寝もと我は思う 汝は何どか思ふ」

子持山の楓の若葉が紅葉するまで、
私はこうしてお前と寝ていたいと思うのだけれど
お前はどう思う?               (現代文大意)

この万葉歌も、もしかしたらこの山の女性の形をみてつくられているのではないかと思えてきます。

詳しくは「かみつけの国 本のテーマ館」内「子持の眠り姫」のページをご参照ください。
http://kamituke.hp.infoseek.co.jp/


そんな騒ぎを昨年後半はずっとしていたのですが、
この「子持の眠り姫の万葉栞」はさらに新しいご縁を広げてくれました。

実は日航機事故のことがご縁で知り合った埼玉のある看護師さんが、
不妊治療トレーニングのコミュを立ち上げ、そのコミュ写真アップのお手伝いなどをしているうちに、
この栞が、安産、子宝のお守りとして活用してもらえることを思いついたのです。

たまたま、こうしたご縁で私も入ってしまったその「プレママ・トレーニング」というコミュ、
独身の男がひとり入っていてもなんとなく居心地がわるく、
写真も決まり、お守り栞も出来たことだし、年末に区切りとして退会させてもらおうと軽く考えたら
その看護師さんから、社会問題としてせっかく男のひとに参加してもらっているのに
勝手に辞めるなんてヒドイ!と、大変なお叱りをうけてしまいました。

そんなこともあり、引き続き「プレママ・トレーニング」コミュの
紙ナプキンがどうした、生理がどうしたとかいう話に
独身男がひとり参加しているのですが、
1月半ばを過ぎたころ、1人のメンバーから待望のオメデタ報告がありました。
そして、その方はなんとこの栞を大事にカバンのなかにいつも持っていてくれたというのです。

ネット上でしか知らない面識のまったくない人ですが、
ひとりのオメデタが、参加しているこのコミュの第1号報告としても価値ありますが
こんなに嬉しい思いを自分がするとは思いもよりませんでした。
今頃になってですが、
この歳になって、生命そのものの喜びを初めて知ったような気がしました。
その第一号オメデタ報告のメールが看護師さんから飛び込んできたのは
夕方、1人で店番レジにいるときでしたが、
目の前にお客さんがいるのに、こみ上げる涙をこらえるのに必至でした。

もちろん、栞の実際の効果など言わずもがなですが、
この栞を普及させる価値が間違いなく存在するのだということは
このとき確信することができました。

そんなこともあって、
今もひとりで、
シコシコと栞のリボンを折る。