~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

私の手作り栞 その2

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かれこれ私の手作り栞のバラエティーも、
万葉歌だけで12種類、
その他を含めると14種類あまりになった。

伊香保万葉歌の9首
伊香保ろの 八尺の堰塞に 立つ虹の 顕ろまでも さ寝をさ寝てば」
「上毛野 伊香保の嶺ろに 降ろ雪の 行き過ぎかてぬ 妹が家のあたり」
「上毛野 伊香保の沼に 植え子水葱 かく恋むやと 種求めけん」
伊香保風 吹く日吹かぬ日 ありといえど 吾が恋のみし 時無かりけり」
伊香保嶺に 雷な鳴りそね わが上には 故は無けれど 児らによりてそ」
伊香保世欲 奈可中次下 思ひとろ 隈こそしつと 忘れ為なふも」
伊香保ろに 天雲い継ぎ かぬまづく 人とおたはふ いざ寝しめとら」
伊香保嶺の 阻の榛原 わが衣に 着き寄らしもよ 一重と思えば」
伊香保嶺の 阻の榛原 ねもころに 将来をな兼ねそ 現在し善かば」

渋川市の花でもあるアジサイの万葉歌2首
「あぢさゐの 八重咲くごとく 八つ代にを いませわが背子 みつつ偲はむ」
「言問はぬ 木すらあぢさゐ 諸弟らが 練りの むらとに 詐えけり」

子持の万葉東歌
子持山 若かへるでの 黄葉つまで 寝もと我は思う 汝は何どか思ふ」

9首の伊香保万葉歌は、これまで地元では、伊香保温泉周辺でしか取り上げられていなかったのですが、そもそも万葉の時代の伊香保とは、現在の伊香保温泉周辺だけのことではなく、榛名山周辺の広域(特に東南域)を指していたことなので、合併渋川市にとってとても大切なテーマだと思っています。

詳しくは「かみつけの国 本のテーマ館」内「伊香保万葉東歌の世界」をご参照ください。
http://kamituke.hp.infoseek.co.jp/

群馬県人であれば上毛カルタは、だれでも覚えているが、榛名山周辺では、この9首の伊香保万葉歌こそ誰もが知っているようになって欲しい。

さらに、なぜ伊香保という地名を詠んだ万葉歌がこれほどまでに集中しているのかということ、
群馬の古墳の数が奈良県の2倍にものぼるということが、
古代においていかに群馬が東国の中心地として栄えていたかを想像させる理由にもなっている。

話は群馬という地名の由縁、
榛名神社伊香保神社の勢力逆転の歴史
大和政権と東国支配の関係、
古代東山道のはたした役割、
古代政権にとって最大の資源である金銀銅水銀など鉱物資源入手ルートなど、
次から次へ、この栞が尽きない話題を提供してくれる。

またこの万葉歌は、その季節ごとに使い分けることもできる。

紫陽花の2首は、もちろん6月の梅雨時
夏には「雷な鳴りそね わが上には 故は無けれど 児らによりてそ」と
   「八尺の堰塞に 立つ虹の」の歌
秋には「子持山 若かへるでの 黄葉つまで」
冬には「伊香保の嶺ろに 降ろ雪の 行き過ぎかてぬ」

もっとも万葉仮名は、ただの古語とは異なり、とても解釈の難しいものもたくさんあり、
専門家の間でも意見がまとまらないようなものが多いので、
それこそ自信をもって素人なりに、より面白い解釈を提供することもできる。
普及させるには、学問的に正しいかどうかよりも
面白いかどうかを優先させて、落語的解釈をどんどんしていこうかと思っている。

とりあえず、この伊香保万葉歌だけで
5万枚作成普及が当面の目標です。

次回には子持万葉歌と「子持の眠り姫」のことを書きます。