~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

経営判断による閉店

うちの店の話ではありません。

渋川市内のT書店渋川店さんが、今月いっぱいで閉店されると聞きました。
そこはY電気さんの経営で、会社全体の経営方針の見直しとともに、沼田店とともに閉めることになったようです。

実は私はこれにはちょっと複雑な思いもあります。
15年前、その店がオープンするとき、私はまだ正林堂にはおらず、T書店に所属していて新しい店などを担当したりしていたため、その渋川店に入っていたからです。

 当時の店長さんや社員の方たちはもういなくなってしまっていますが、親会社がいまや業界トップのY電気さんということもあり(当時はまだ上場を目指して急成長をしているときでした)、新しい書籍部門の事業を家電業界のひとにいかに理解してもらうか、POSシステムや仕入れ方法の違いなど、本部の方とのあいだではずいぶん厳しいやりとりもした記憶があります。
 そんななかで当時の店長さんや現場のスタッフの皆さんは、現場裁量を最大限駆使して、フランチャイズ店であるにもかかわらずとてもよく頑張ってくれていました。
 当時は、当然、書籍の知識などは無いに等しいスタッフばかりでしたが、仕事に対する責任感などは、他の店の人たちよりもずっとしっかりしたスタッフが揃っており、問題解決能力はチェーン店内他店よりもむしろ勝っているくらいでした。

 でも業界ナンバーワンにまでなった会社からしたら、家電店とは独立した書籍部門の数字は、おそらくとてもかったるいものに見えたかもしれません。

 ちょうど今日、出版業界のここ10年ほどの推移を集計したデータを見ました。
 1995年ころをピークに書籍、雑誌どの数字をみても下降線をたどっています。
 とりわけ広告収入の落ち込みが先行していることから、雑誌市場の減少が加速することは間違いないと思います。

 そうした意味では経営上はY電気さんの判断は間違っていないと思います。
 これからは、大型店は、徹底した一番店の立場を維持できない限り苦しい時代になり、それ以外は、様々な分野への専門化へのたどれないと苦しくなることが必至だからです。
 
 時代の移り変わりを感じるとともに、地元の資本で長くその地に生き残り続ける事業の重要性をあらためて感じる思いもしました。

 ひとつのお店が無くなるということは、経営上はひとつの判断ですが、お客さんにとってはもとより従業員にとっても、とても大きな生き方や生活の変更をともなうこともあるものです。

 チェーン展開をする大きな会社に店舗の統廃合はつきもので、それにともない現場のスタッフも別の部署に移動したり、辞めることになったり様々ですが、多少なりとも自分が関わったお店であるだけに、15年間、その店を支えてくれた皆さんが、これからどこへ移ることになってもご活躍されることを願わずにはいられません。


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