~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

最近の出版統計から、

内部の打ち合わせ用に、出版科学研究所の統計資料をみていて、
あらためて衰退産業である書店業界の暗い将来像と、
うちのような小さい店の明るい未来像を浮き彫りに感じることができました。

ここ20年ほどの業界全体のおおまかな数字の推移を見ると
1995,96年頃をピークに、全ての分野の統計データが落ちています。

雑誌・書籍トータルの推定販売金額では、
1986年 17,968億円から伸び続け
1996年の26,563億円をピークに、以後下がり続けて
2006年には 21,525億円にまで、約20%ダウンしている。

とりわけ、市場全体の半分以上を占める雑誌の落ち込みは激しい。
週刊誌にいたってはピーク年の63%にまで落ちています。

実際の販売額以上に、広告収入が、不特定の読者を対象としたペーパー雑誌から、
ピンポイントで広告を届けられるネット市場へ急速に移行していることにより、
今後更に低下の勢いを加速することが予想されます。

昨年あたりからしきりに、百貨店、スーパーを含め
リアルの小売市場が、これから10年以内に
ピーク時の半分程度にまでなると、業界識者が言っていたことを、
多くの人には脅しめいた過激な発言としか聞こえていなかったようだが、
この数字をみても決してオーバーな表現でなくなっていることがわかる。

そんな時代に、今世の中全体は、大型店化を競い合っている。
かつての中心域であった100坪クラスは、ほとんど競争力は無くなり、
いまや300坪以上でないと、版元、取次ぎから相手にしてもらえない時代になってしまいました。

ありがたい。

これから10年のうちに、これらの店がどんどん苦しくなり、
今流行の巨大ショッピングセンターといえども、2番手、3番手になってしまったところは
すべてゴーストタウンと化すことが、もう見え出している。

膨大な在庫をかかえるビジネスはすでに終わっている。
かといって本は現物がなければやっていけない、という面はあるものの、
現物を持っていても情報を管理できていない店は、持っていないに等しいということです。

これまでの10年、ほとんどの店が、積極的な増床や改装を行なわない限り
売上げは落ち続けています。
それはあの勢いのあったコンビニ業界ですらいえることです。

今後10年、運良く景気が上向くようなことがあっても、
既存の業態で売上げがあがるようなことは決してないと思います。

うちのような小さな店が、下の方からチビチビと売上げを伸ばしているあいだに、
上の方が勝手にどんどん落っこちてくる、
そんな構図が見えています。

でも悲しいかな、小さいということは
ちょっとした横風が吹いただけで吹き飛んでしまう危険を常に持っているので何も楽観できないが、
世の中の流れは嬉しい方向に向ってくれている。

しかも!
うちみたいな立地の悪いところで商売していれば、
大きな競合が来る心配もない、ときた。

ありがたや
ありがたや。

この話、ないしょにしておいてね。