~ここから新しい世界に出会える~正林堂

渋川市の書店「正林堂」からお店の企画、本の紹介、地域の情報などを気ままに発信します。

オンマ谷という場所

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先週、榛名山の二ツ岳(雄山、雌山)に登り、オンマ谷という場所にはじめて行ってきました。


まったく予備知識なしで訪れた場所なのですが、これほどのところとは、まったく知りませんでした。

 相馬岳と二ツ岳に挟まれた狭い谷間なのですが、榛名山の外輪山の主要登山、ハイキングコースからは丁度影に隠れたような場所にあります。
 前回、二ツ岳に登ったときも、標識を見ても行きたい場所とはまったく考えていませんでした。

 遠い昔のことですが、何度か噴火を繰り返してきた榛名山


 雄岳からの眺望は、ちょうど榛名富士に榛名湖がかくれてしまっていますが、
榛名湖を囲む外輪山は、阿蘇山のようなきれいに外周を囲む外輪山というよりは、榛名湖・榛名富士から渦巻き状に山々が取り囲んでいるかたちになっています。
 そんな渦巻きの皺のひとつとしてオンマ谷が位置しているようです。

榛名湖に下るヤセオネ峠から左に折れて林道をどんどん下ると、雄岳直下の駐車場につきます。

そこからオンマ谷はすぐのところにあるのですが、今回、わたしたちはまずテレビ中継基地のある雄岳に登りました。
ちょうど群馬テレビの作業員らしい人が数人来ており、大がかりな設備をしきりに操作している。
そのなかに、一人だけ女性の作業員がいて、側を通ったとき唯一声を返してくれた。
その女性が、頂上でわれわれが楽しんでいると横に来て中継基地の説明などを簡単にしてくれた。
ここが壊れると群馬中の放送が止まってしまうのだという。

榛名山直下の渋川市は、この山が近すぎるばかりに、山陰で電波が届かない場所があることをつげ、申しわけないが、今日このアンテナを30センチだけ上に伸ばして行っていいかと聞いてみた。

もちろん相手にはしてもらえなかった。
うらやましい職場ですね、と声をかけてわかれた。

雄岳を下ってまた雌岳に登りはじめると、大きな岩の裂け目が縦にほら穴のような口をあけている場所があった。
前回来たときは気づかなかった。
二ツ岳の大きい方が雄、小さい方が雌というだけではなく、こんな形の意味も持っていたのか。


雌岳の頂上からは東側、赤城山方面の眺望がひらけている。
正面に水沢山の三角がきれいにみえる。

早々に山頂から下り、本来の一番の目的地、屏風岩周辺の谷あいの紅葉を見に行くが、残念ながらこのあたりの紅葉もほとんど終わっていた。

徳富蘆花などが好んで訪れた場所。
新緑や紅葉が岩に映えてとても美しい場所なのですが、通常の榛名湖周辺の観光に来る人にはほとんど知れていない。

そこからさらに下ると次第に色づいた木々が増えてくる。


本来は、下りきった場所から相馬岳を目指して、仏岩をみたいと思っていたが、こちら側から相馬岳に登るコースは閉鎖されていた。

それでさらにどんどん下って「オンマ谷」を経てそのまま帰ることにした。

左手は相馬岳の絶壁が続き、右側は二ツ岳の急峻な斜面。

二ツ岳の大噴火のあった場所周辺のため、どこへ行っても斜面には大きな石がゴロゴロしており、石の階段をつくる材料には事欠かない。

さらにしばらく下り続けると、なんでこんなところに手すりや鎖があるのかと思うような場所に出る。
どうやらそこからがオンマ谷の核心部分。

どこへ行っても岩がある一帯でしたが、次第に周囲にある岩が巨大になりだし、気づけば今歩いている大きな岩は、さらにその下の岩岩に乗っており、岩の隙間がはるか地底深くまで続いていることに気づく。

直径5mから10mもあるかと思われる岩が、この狭い谷間に積もり重なっている。その岩の上、間を抜けるように道がつけられている。

これだけの急峻な山に挟まれた谷なので、日照時間はかなり少ない場所と思われる。

はじめは、ほうこれはスゴイと関心している程度でしたが、その巨岩の積もり重なった姿がどこまでも続くのを見るにしたがって、おいおい、これはタダモノではないと感じはじめました。

後にブログ記事などを検索してみましたが、意外と登山を目的に来たひとたちにこの景観は普通の岩場の延長程度にしか見えていないように思えました。

宮崎駿監督がここを知ったら、絶対に作品で使うだろう。

この迫力は、妖精の現れる森などといったイメージではなく、
また小動物が隠れるような場所でもない。

木々はあっても、普通の森の生命観に溢れているというよりは、なにか古代の神々のなかでもスサノオが中心になって仲間を呼び寄せそうな空間といったイメージです。


申しわけありません。
そんな場所に限って、感嘆してばかりいて写真を一枚も撮らずに来てしまいました。

岩場を抜けると、じきに駐車場に着く。

気づけば、駐車場からは実に軽いハイキングで辿りつける場所にある。

この異様な岩場のスケールは、写真よりも動画の方が伝わりやすいかもしれない。

また、近いうちに必ず行くことにします。